氷河期世代のぼやき

言いたい放題

我が子の不幸を喜ぶウチの親

俺は97年に大学を卒業するまで実家に住んでて、500kmほど離れたところに就職した。正社員で就職できただけでも氷河期世代の中ではマシなほうだと思うが、3年ほど勤めたところで取引先が事業を撤退することになり、そのあおりを受けて退職勧奨され、退職し、実家に帰ることになった。

 

それなのに、辞めて実家へ帰ることになったら、「地元へ帰れてうれしいだろう。これでホッとするだろう。」と親は大喜びだった。仕事を辞めさせられてしぶしぶ地元へ帰るのがうれしい人なんていないのに、我が子が仕事を辞めさせられるという不幸がそんなにうれしいのだろうか。せめて、「残念だったな。一旦地元へ帰ってやり直そう。」くらいの反応にはならなかったのか。

 

会社はそのままで、地元への転勤だったら喜んでもおかしくないが、地元はかつて石炭が採れてにぎわったところで、国のエネルギー政策転換の影響を受けてまともな仕事がなく、高齢化率も高くて、まともな収入の得られる仕事など医療系くらいしかない。しかも退職したのが2000年3月だったから、就職状況が一番悪かった時期だ。そのときはまだ25歳だったから、景気が良ければまだなんとかなったかも知れないが。

 

それに、住み慣れたところの一人暮らしから、実家での生活に戻ってしまったから、家に他の人がいるというのが苦痛で仕方なくなり、3カ月ほどで600kmほど離れたところの派遣の仕事を選んでまた実家を出て行った。

 

そこは2年ほどいて実家に戻り、しばらく地元にいたもののまた地元を離れたり、また地元へ戻ったり、を何度かくり返して、今は地元から1200km離れたところで派遣社員として働いている。地元に仕事がないから結局いつまでも遠方で派遣社員のままだ。あれからすでに22年過ぎたけど、会社を辞めさせられてしぶしぶ地元へ帰ることを親が大喜びしたことは忘れられない。親の世代なんて、今と比較すると税金や社会保険は非常に安かったし、特に努力しなくても今聞いたらびっくりするような大企業に就職できた時代だった。俺だってそんな時代に生きてりゃ、最初の会社を3年で辞めてもいくらでも再就職先はあっただろう。そんな時代に生きて、何不自由なく就職した親が氷河期世代の俺の退職を喜ぶなんてどういうことだ。だったら、俺だって今後訪れる親の不幸を俺も喜んでやってもいいよ。

 

親の不幸というのは死のことだから、さすがにそれはなく、なるべく元気に長生きして欲しいものだとは思う。母親は4年前に他界していて、父親は実家に一人で住んでいる。今のところは元気だが、今後どうなるかは分からない。数年内に入院したり、施設に入所したりといった事態が発生するだろうが、俺は非正規雇用とは言え、そこそこの収入があるから、親の世話という、生産性ゼロの作業のために、仕事を辞めて実家へ帰るようなことはしたくない。ただでさえずーっと非正規雇用で苦しんでいるのだ。これ以上、親の世代は子の人生を奪うのをやめてほしいものだと思う。

 

しかし、実際に親の世話の問題が発生したときは長男である俺が担当することになりそうな気がしてならない。俺には弟がいるんだけど、弟は親戚の紹介で入った会社に勤めててすでに高校生の娘がいて、実家から1kmほどの場所で一軒家を買って住んでいるから、所帯を持っている弟より、持ってない俺が担当することになりそうな気がしてならない。この問題は今後もめそうだから、父親が元気な今のうちに地元への転勤希望を出しておいた方がいいかも知れない。でも今の派遣先は正社員登用すると言っていて、そうなると年収は200万円は上がるから、それを蹴ってまで地元へ転勤するのがいいのか、それとも今の派遣先にとどまった方がいいのかかなり悩む。今月終わりごろには次の契約更新をどうするか希望を派遣元から聞かれるから、それまでには結論を出さなければならない。このような問題は、どっちが正解なんてないから、えんえんと悩み続けることになりそうだ。