氷河期世代のぼやき

言いたい放題

「労働者は弱者だから保護しよう」という考え方が逆に弱者を痛めつける

イデオロギーの違いで人を保守かリベラルかで分けると、俺はどちらかというと保守に分類される側にいると思う。リベラルが一切批判しない、力による領土拡張と人権侵害を繰り返す中国は許せないし、そのような中国の後ろにある共産主義思想は危険な思想だと思っている。

 

しかし、以前のブログでも触れたが、普段「アベガー」と言ってるリベラルも、「アサヒガー」と言っている保守も、労働・雇用に関する考え方はほぼ同じで、この点に関しては妙に意見が一致している。

 

厳密に言うと、保守の9割とリベラルの10割が一致しているかなと言った印象で、保守の残りの1割ほどの方はまともな考え方のようだが、一致する点を分かりやすく言うと、「小泉・竹中は悪。」とか「労働者は弱者だから保護しろ。賃下げも解雇も絶対禁止。」と言ったところ。

 

「小泉・竹中は悪。」の主張に関しては、小泉・竹中時代に失業率もジニ係数も改善が見られるから違うだろうし、これに関しては後で別のブログで触れてみたいと思う。

 

もうひとつの、「労働者は弱者だから保護しろ。賃下げも解雇も絶対禁止。」に関しては、

 

「労働者は弱者」と言って、そのような人たちを正社員としてガチガチに規制すれば、失業者や学生など、これから働こうとしている人たちが排除される。あるいは、規制から逃れようとして非正規雇用が大量に生み出される。あるいは工場がどんどん海外へ逃げてしまう ような事態に陥ってしまうだろう。

 

まず「賃下げ」について。会社の売り上げなんて来月どうなるかも分からないから、賃下げなどの雇用調整は必要不可欠なものだと思うが、そのような原理・原則を無視した結果どうなったか。スカイツリーだって降りていいから登るのであって、降りてはいけないのだったら誰も登らない。給料も同様で、下げることを禁止すれば上げられなくなる。最近よく、「日本は給料が全然上がっていない。」と言った記事を良く見るが、「高いものを買ったら作った人たちの給料が上がるから高いものを我慢して買おう。」と言った精神論が多くて、「下げられないから上げられない。」給料の下方硬直性と言った根本的な問題を指摘している記事は少ない。

 

「解雇を禁止」に関しては、「おしっこやうんこをしてはいけない」と言っているのと一緒で、そんなことをやってしまうと、飲んだり食べたりしなくなるのと同様で、採用をしなくなってしまう。バブル期に食べ過ぎたり飲みすぎたりした企業は、バブル崩壊後に出したいのに出せないからあわてて飲み食いをしなくなり、そのしわよせで生み出されたのが氷河期世代なのではないか。

 

保守の1割くらいの人はこうした当たり前のことに気づいているかもしれないが、保守もリベラルも大多数の人たちは気付いてないから、労働・雇用に関するニュースがyahooで配信されると、コメント欄が小泉・竹中攻撃であふれかえるが、小泉・竹中を悪者にしても何も解決しない。まずは、賃下げや解雇などの雇用調整を労働者全体で受け入れることが先決ではないか。現状ではそれが非正規雇用に押し付けられているから、20年・30年と同じ会社で働く正社員がいる一方で、毎年のように辞めさせられる非正規雇用がいるし、日本企業の海外流出が進んで雇用が減ってしまっている。日本の半導体がジリ貧になってしまったのも、雇用調整ができないことの影響が出ているような気がする。半導体なんて波の激しい業界なのに、雇用調整を禁止されたらやっていけないだろう。